2003-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ『フェルディドゥルケ』(集英社) なんと集英社なのである。昔はこんな本も出していたんだなぁ。変態ですな、とんがってますな、永遠の未成熟ですな、「おちり、おちり、おちり万歳ですな」

奥泉光『「吾輩は猫である」殺人事件』(新潮社) 奥泉曰く「漱石の「猫」のパロデイーはたくさんある。「吾輩は犬である」とか「ぼくは猫よ」とかいったものから、「吾輩はインキンである」なんてものもある。有名なのは内田百間の「贋作」であるが、僕はこ…

エウヘニオ・ドールス『プラド美術館の3時間』(ちくま学芸文庫) 『バロック論』で知られる美術研究の大家、ドールスがプラド美術館を舞台に展開する絵画論。結構難解な著作が多いらしいけれどもこれは一般向けに非常に分かりやすく書かれていて、世界的に…

ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(集英社文庫) 集英社文庫には下らない本も多いけど小粒でもピリリと辛い本も多いのです。これなんかその典型。詩人の北村太郎が訳したアリス。恥ずかしながらアリスとオズを混同していて読みながらブリキの兵隊出て…

アントン・チェーホフ『かもめ・ワーニャ伯父さん』(岩波文庫) チェーホフの著作はかなり膨大で全集にすると20冊超なのだけど、今はあんまり売ってない。ただ、この「かもめ」だけは出版され続けている。「かもめ」は最後主人公が自殺するのだけど、自殺…

『日影丈吉全集2 女の家・移行死体・現代忍者考・孤独の罠』(国書刊行会) 作家になる前の経歴がほとんど分からない作家。フランス料理のシェフで、東京のレストランのシェフは皆彼の薫陶を受けているという噂も囁かれた。とにかく滋味の富んだ文章を書く…

ヴィトルド・ゴンブロヴィッチ『ポルノグラフィア』(河出書房新社) 20世紀のポーランド語文学には三人の天才が現れた。ヴィトカッツィ、シュルツ、ゴンブロヴィッチの3人だ。それぞれ、絶望の狂人、溺れる狂人、反逆の狂人、との異名を取る。シュルツは…

中平卓馬『来るべき言葉のために』 長らく絶版だったが、幻の写真誌「PROVOKE」と共に、「Japanese Box」というセットになって復刊された。しかしそれは日本の出版社では無く海外の出版者によって。何やってんだ、日本のバカ出版社は。タレント写真集とかオ…

内田百間『内田百間集成6 間抜けの実在に関する文献』(ちくま文庫) 弟子や恩師、森田草平などなど、との交遊録。帯には「間抜けは単なる観念でも無く空想でもない。」と書かれており、相変わらずの皮肉屋ぶり。以下に引用する「忘却論」には全面的に賛成…

後藤明生『挟み撃ち』(講談社文芸文庫) 「ゴトウメイセイ」と読む。再読して凄さを思い知った。1人の男が、20年前に着用した外套の行方を1日費やして訪ね歩く。ただ、それだけの話。要約してしまえばわずか1行余りのストーリーに、256ページが費や…

ポール・トーマス・アンダーソン『マグノリア』 この映画は確かに新しい。映画と言うよりもむしろ紙芝居。まず言葉があり、映像が附随している様な印象。短いシークエンスでテンポ良く進みながら登場人物のエピソードが錯綜していく様は見事。とはいえ、やは…

金子勝『長期停滞』(ちくま新書) レポート提出の課題図書のため致し方ない。銀行の不良債権をどうにかしないとどうにもならない、ようだ。講義の方が経済学とは関係ないような話をしてくれるので面白い。知識量は半端ない先生ではある。端からみたら相当う…

私の記憶が確かならば、この数日前くらいに京都旅行から帰ってきたはず。神戸ファッションミュージアムを詣でたり、そこの近くにあるアウトレットがバカ安だったり、収穫の多い旅行だった。