谷崎潤一郎『谷崎潤一郎全集』

谷崎全集を読んでいるが『瘋癲老人日記』は実に面白かった。谷崎史上最高の悪女「颯子」が登場。日記という形式をとりながら主人公と谷崎自身がだぶるように書かれている。病状や墓地探しの話などは実際の話に近いのだろう、そういう意味でも楽しめる。現実と虚構が入り交じりながら老人の変態性癖が爆発。終わり方も凄い。『台所太平記』はどちらかと言うと『細雪』タイプの淡々と進行していく小説。しかし、これはこれで地味なんだが滋味がある、とでも言った味わい。谷崎はすんばらしい。

瘋癲老人日記 (中公文庫)