溝口健二宮本武蔵
原作は毎日新聞戦争版に掲載されていた菊池寛の小説、らしい。なによりも「戦争版」という表記に面喰らうが・・・。昭和19年、1944年の作品なので思いっきり戦時中の映画。そんなわけで、もろに国威発揚映画だったりする。こういうのは初めて見たのでそういう点では新鮮だけど、期待してた程の出来ではなかった。『雨月物語』での横移動みたいなのを期待してたんだけど、カメラほとんど動かなかったなぁ。
ティーブン・M・マーティン『テルミン
電子楽器テルミンを開発したテルミン博士のドキュメンタリー。世界初の電子楽器を制作し、カーネギーホールでの公演は大成功を納めるのだけど、ある日、白昼堂々ソ連に拉致されてしまう。その後しばらく生死もわからず、というか殺されたものと思われていたのだけど生存が発覚。波乱万丈な人生。この楽器は映画音楽でも良く使われていて、それこそ溝口健二の傑作『赤線地帯』でもテルミンは効果的に使われていた。
山賀博之王立宇宙軍 オネアミスの翼
後に『新世紀エヴァンゲリオン』を制作して一世を風靡するGAINAXの処女作。スタッフには庵野秀明岡田斗司夫貞本義行が名を連ね、音楽は坂本龍一。派手な戦闘も無くただロケットを打ち上げるだけの地味なお話なのだけど、凄く頑張っている。下に引用した台詞はこの作品のテーマを良く表していて、感動するならこの辺なのだろう。この台詞のために作ったんだろうな、とは思った。きっと子供のための安易な娯楽に終わらない、こういうまじめなテーマを1つ設けたアニメ作りがしたかったんじゃないかしらん。

「誰かに必要とされているから、生きていられる。金物屋もそうだ。誰かが必要としているから、金物屋でいられるんだ。必要なければ、消されてるよ。」

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