トーマス・C・フォスター『大学教授のように小説を読む方法』(白水社
少々こっ恥ずかしい書名ではあります。素人と研究者の読みの違い、それは記憶、象徴、パターンの3点。そもそも「物語」=「ストーリー」にオリジナルの物なんてあり得ない。物語にはパターンがあり、出てくる物は何かを象徴している。その解釈が読む時の肝、というお話。そしてそれはもちろん文学だけじゃなくて、映画もそうなんだよなぁ、と思った今日この頃。読み解きと解釈の多様性を楽しむ、のはなかなか難しくてできませんが、少なくとも物語に感動した、しない、みたいな話に終始するのは嫌。そしてこれを読みながら思ったのだけど、作家の都合で感動させたいから登場人物殺しときました、みたいなのが一番腹立つなぁ、と感じていたのはその展開に対して象徴性や、必然性が無いからなんでしょうね。入門書としては取っ付きやすくて面白かったです。

 
大学教授のように小説を読む方法