シオドア・スタージョン『輝く断片』(河出書房新社
実に奇妙な味わい。表題作を始めとして、ひょんなとこから歯車が狂ってしまって思いもよらぬ行動を取ってしまう、というか悲劇が起きるというか、そんなタイプの話が多かった。歯車が狂ってしまっているのだからそのまま進めば破綻するのは当たり前っちゃ当たり前。ただ、歯車が狂ってから破綻までが理路整然と進んでいく印象で、破綻までのアルゴリズムを見るような奇妙な美しさと一度狂ってしまったらたとえ行き着く先が悲劇だとしてもその状況に押し流されるしかないやるせない感じが絶妙な味わい。後発想は実にユニーク。「マエストロを殺せ」ではバンドの中心メンバーを殺した後も、残ったバンドの演奏の中にそいつは生きていて、バンドの音も殺そうとする、って発想が面白かった。夢中になって読みましたって訳ではないけど、とりあえず、他の作品も読んでみようと思う。他の作品次第ではハマるかも。

 
輝く断片 (奇想コレクション)