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小沼丹『風光る丘』（未知谷）

小沼丹の全集を刊行し終わったと思ったら、全集未収録の長編を刊行するってどういうことですか？未知谷さん？全集の価値が一瞬にして疑わしいものに・・・まぁ、いいんだけど。全集でしか読めないものだらけだし、そのうちがんばって買うけど。本作は地方新聞７紙に連載された幻の長編。どこかねじの緩んだユーモラスなキャラクターが間の抜けた間合いを取っている感じはこの著者独特のもの。もっとも晩年の「小さな手袋」や「珈琲挽き」と言ったエッセイなどの味わいに比べるとやや落ちるのだけど、片鱗は確実にある。まぁ単純に娯楽ものとしても読めた。