タカハタ秀太『ホテル・ビーナス』
想像以上に良かった。全然期待せずに、ただタグボート麻生哲朗の脚本がどんなもんか見たくて見たのだけど。脚本の言葉はさすがに1つ1つ丹念に書かれている感じ。でもそれだけじゃなくてちゃんと演出もうまかったと思う。最後の女の子の台詞、ちゃんと音消してあるし。台詞の音と言えば『半落ち』のラストを思い出すなぁ。あそこでは寺尾アキラに呟かせて観客に台詞を教えちゃっていたけど、こっちはちゃんと音を消して観客に任せている。観客は自分で想像しなくちゃいけない。ぼけっと口開けて1〜10まで答えを待ってるのでは無くて、能動的に見て、自分で気づく事、それがとても大切。演出する側も観客を信じるべき。喋りたくなるのをぐっと堪えて、皆まで語らず、このバランス。伝わるかどうか不安になってついつい饒舌になってしまうのだけどね。あ―、演出って難しい。

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