『金子光晴全集3 鬼の兒の唄・人間の悲劇・非情・水勢』(中央公論社)

「水勢」はまさに勢いでかかれた様な作品、フォントのサイズを変えて強調してみたり実験的とも言える。著者自身は発表後すぐに失敗作だった、と激しい自己嫌悪を見せ続けたらしい。収録された作品は全体的に戦争の色が濃く、散文と詩を混ぜたものが多い。総じて大して面白くないが、金子光晴全集は詩よりも彼の旅行記がお目当てなので問題無し。ふと気になったのは、荒地派の詩人達にとって金子光晴はどんな存在だったんだろう、ということ。彼らが金子の事を話題にしているのを寡聞にして知らない。その内ちょっと気にしてみるか。