ルイ・フェルディナン・セリーヌ『なしくずしの死 上』(河出文庫
破天荒な伝記。まずは文体に驚いた。まるで書き散らしているかのような文体。船に酔って吐くシーンがあるのだが、「げぼー」というのには笑った。国書刊行会が『セリーヌの作品』シリーズを刊行し続けているが今年ついに20数年の歳月を経て完結する。快挙だ。
シャルル・ボードレール悪の華』(集英社文庫
集英社文庫は地味に良いものがある。世の中に『悪の華』の日本語訳は数あれど、安藤元雄が訳したこのバージョンが日本語として読んで一番読みやすく、しっくりくる気がする。集英社文庫には他にも北村太郎が訳した『不思議の国のアリス』など詩人が訳したものが結構収録されていて面白い。

なしくずしの死〈上〉 (河出文庫) 悪の華 (集英社文庫)